遺書のような備忘録

色々と忘れてしまわないように、個人的なことを書きます。

「天気の子」感想。あちら側の視点で観る自分に気づいて泣いた話。

 

 タイトル通りです。それ以上もそれ以下もないです。泣きました。大人ってなんなんですかね。思ったこと書きなぐります。ネタバレしかないです。気をつけて。

 

 こちら側とあちら側。つまるところ大人と子供の違いって、時に年齢だったり自立して生活できているかだったり、人によって定義が違うと思うんですよ。だからこそ曖昧で、自分と他人で差異が出たりする。僕は24歳なんですが、体ばかりが大きくなって中身は子供なんじゃないかと思ってますし、実際子供みたいに一般論をいう大人たちにヘイトを向けて反骨心だけは忘れないような大人になりたいんですよね。

 主人公の帆高や陽菜は高校生くらいではっきり言って子供なんです。年齢的には。だけど帆高は島から一人家出して東京で生計を立てれるくらいにはなんとかやっている。周りの人(須賀さんと夏美さん)のサポートがあってこそだけど。陽奈は母親が亡くなって弟の凪と二人の生活でアルバイトのお金だけでなんとか生活している。

 これを考えると結構自立できていると思うんです。細かい話は置いておいて、ただ生活するだけなら案外やっていけてそう。しかも、帆高と陽菜で力を合わせて晴れ女の力でビジネスとしても儲けがある状態。この段階では、年齢的には子供かもしれないけどある程度の自立力はありそうだから、子供としてみていいのか大人としてみていいのか分からなくなる。

 

 けど物語の中盤手前で警察が介入しだしてから一変、帆高は須賀さんから島に帰るように言われて、陽菜は弟と児童施設に連れて行かれそうになる。そこで帆高、陽菜、弟の凪は一緒に逃げるって決断をしたんですよ。それみて僕ドン引きです。マジで頭沸いてるんじゃないかと。少しビジネスで成功したからって3人でやっていけるわけがない。自惚れも大概にしとけと。そもそも須賀さんが言ってた通り、帆高が島に戻れば万事解決なのに。やっぱり子供だなぁと。

 

 結果、帆高は逮捕されて陽菜は人柱となって消えちゃって凪は児童養護施設へ・・・。もう最悪。言わんこっちゃない結果だし、帆高も帆高で陽菜を探しにいくとか言って警察官に精神異常を疑われる始末。結構この展開しんどいんですよね。警察官も帆高の虚言聞いた時に何回もめんどくせぇって言ってたけど、本当それだよなぁと思って。やっぱり子供だなぁと。

 

 さらに最悪の展開は進んで、帆高脱走。凪脱走。夏美は脱走の手伝いをして警察に捕まる始末。帆高は2度目の拳銃発砲で取り返しがつかなくなるし、帆高を説得しようとしてた須賀さんも警官殴って公務執行妨害確定。凪も警官に膝下タックル食らわせて公務執行妨害確定。フルコンボが決まってもう・・・って感じなんすよね。でもこのあたりで気づいたんですよ。

 

 帆高は夢を一心不乱に追っている子供の象徴で、凪はその唯一の理解者かつ仲間の象徴。須賀さんは夢が叶わなくなった過去を持った大人の象徴で、夏美さんはその間にいる人の象徴で、警察官は世の中に存在する一般的な大人や理不尽の象徴。

 そう思った時に自分はなんで警官とか大人の立場で見てるんだろうと。なんで素直に帆高を応援できないんだろう。自分もかつて夢を見て一心にやってたけど周りにいたクソみたいな大人はやれ頭がオカシイだの、現実が見えてないだの言ってくるし誰も信用できなかったことがあったなと。何か頑張っている人がいた時に応援する人と無関心な人と弾圧をかけてやる気を削いでくる人といろんな人がいたのに、そこで一体自分は何を思って何を学んでたんだと。自分の頑張りや努力を嘲笑って、一般的な常識で不安を煽って、屈辱的な思いや怒りを感じて絶対こうはなるかと思ったかつてのくそみたいな大人たちと全くおんなじことをやってる自分がいたんですよ。自分はいつの間にか夢を見せる側でも見る側でもなく、それをあざ笑うくそみたいな大人の仲間入りしてた。

 

 帆高の行動は目に余るしちょっとやりすぎな感じがするけど、目的はたったひとつ。「陽菜を助けに行きたい」。それだけを一貫してるんですよね。それがゆえに周りが見えない。一心不乱。帆高だけが陽菜をなんとかできる、目的を達成できる可能性を持ってて本人もそれをひたすらに実行しようとしてる。けど周りからは理解されないし精神異常と思われる始末。自分を止めようとする人は(たとえ善意であったとしても)みんな敵にしか思えない。本当に救いがないんですね。ただ一人の子供の行動を、子供の戯言として、大人の暴力で押さえつける。そうやって理不尽に塗り潰されて平らにされる。

 けど帆高は諦めなかった。本当に一心不乱に何かをやり遂げようとしていたから凪が行動に移して脱走した。その凪の諦めない気持ちも凪の友達を動かした。夏美さんだって就活中で自分が困難な時なのに警察に捕まろうとも帆高の目的達成のために尽力した。須賀さんは帆高を説得してたはずなのに、帆高が警察に殴られていよいよ逮捕されそうになった瞬間、過去の自分と今の帆高が重なって警察を殴った。過去の須賀さんは世の理不尽とかに潰されてしまった、救われなかった帆高なんですよ。そして帆高は陽奈を助けることができる。もちろんみんな代償は支払わなければならなかったわけですけど、僕から見たそれらのつながりは救いに満ちてた。

 なりふり構わずに諦めなければ助けてくれる人がいたり、時に須賀さんみたいに避けることのできない理不尽に潰されても、その人が今度は誰かを助ける。そうやって世界が回っていけば、そんな世界なら救われる人もいるんじゃないかと思うんです。実際僕は自分が大人の目線でしか見れなかったことに憤りとか悲しさを感じましたけど、それでも今からでも須賀さん見たく誰かを助けることができるようになれれば救われるなと。そうやって世界が回っていけばいいなと。物語終盤で帆高が須賀さんに謝った時の須賀さんの言葉「もともと世界は狂ってるんだから。」この言葉の重さは須賀さんだからこそ言える言葉だし、こう言ったことを言えるくらいの経験を積まなければなと。そしてあちら側ではなくこちら側に立てるチャンスはまだあるのだと。

 本当にこのタイミングで見れてよかった。新海誠監督、本当にありがとうございます。

 

 最後に、RADWIMPSの「愛にできることはまだあるか」の一部を抜粋して。

 

   それでもあの日の 君が今もまだ

   僕の全正義の ど真ん中にいる

   世界が背中を 向けてもまだなお

   立ち向かう君が 今もここにいる